2019.2/27
絵の大きさ
川端実の作品をご存知の方は、大作が多いと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに彼の画業の中に100号(162×130)を超える作品は、多く残されています。
もちろん、100号以下の作品も描いてはいますが、
美術館やギャラリーでの展覧会等では、大作が紹介されています。
その大きさは、川端実が抽象画の最盛期のニューヨークを拠点としていたことが、
大きく関係しているでしょう。
アクション・ペインティングのジャクソン・ポロック然り、
カラーフィールド・ペインティングのマーク・ロスコ然り、です。
実際に彼の広いアトリエの写真を見ると、ごく自然なことだったのだろうと頷けます。
ただ、それだけではないとも思うのです。
渡米する前年の1957年に、川端実自身がこう語っています。
「必ずしも絵の大きさと作品の強さが同じだとは言えないが、
ぼくの絵は小さくちゃだめなんだ。
或る程度の大きさがないと...…小さいと小手先だけのものになりやすい。
ぼくはなにか全身で描かないとだめなんだナ。」
引用:「美術手帖」1957
「KAWABATA IN NEW YORK」原田治 新谷正弘 著 1992
川端実は、自身の作品はニューヨークでこそ結実すると確信していたのかもしれません。
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