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2016.10/8

工芸青花6号掲載 李朝白磁角瓶

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(撮影 菅野康晴氏)

工芸青花の第6号が先日発刊され、精華抄のコーナーに李朝白磁角瓶をご掲載頂きました。

「 角瓶と呼ばれる方形の瓶は、李朝中期から後期にかけて造られた。通常の面取技法とは異なり、平らな陶土板を組み立てた後、肩部にのみ斜めの箆削りを施す方法によるものである。本作は各辺の幅がほぼ等しく、口縁部も小さく低い作りのため、角瓶の中でも古式と考えられよう。ずしりと地に根付くような印象を与える。後期にかけて青花のものが増え、器形の多様化・伸長化が進んだ。
 儒教の浸透が進んだ李朝中期には、様々な種類の祭器が作られたが、この角瓶も浄瓶として祭壇で用いられたものと考えられるようだ。質実で飾り気を抑えた面取や方形の意匠は、これら祭器で特に好んで用いられ、朝鮮的な個性を築いていった。
 李朝中期は、金沙里窯に代表される雪のような純白の白磁を多く生み、この期の作は日本でもとりわけ珍重されてきた。後期の緻密で堅い胎土とは異なるため、釉膚はしっとりと暖かみがあり、無数に表れた色の揺らめきや細かな陰影が、決して純白を単調なものにしない。明快な形の中にも、柔らかに捕らえた光をうちに秘めているような、静穏を宿す作である。」
『工芸青花』第6号(新潮社)より転載

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