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2016.11/5

ドーム 芥子文盃 仕覆

仕覆の注文を頂きました。
今回は、ドームの芥子文盃です。

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ドームはアールヌーヴォー期(1900年前後)のフランスにおいてガレと共に活躍し、数々の技法で特許を取り、ガラスを食器から作品として価値を高めました。なかでも綺麗な色彩のエナメルと繊細な絵付けが当時から人気でしたが、会社は現在も残っているものの、こういったエナメル彩色の作品は、手間とコストがかかるらしく今は作られてはいないようです。

このような小品は愛らしい品物である為、収集家に収まるとなかなか市場には出て来ません。それでも妥協せず、出来るだけコンデションの良いものを探すよう心掛けておりますが、今回、エナメルと金彩の絵付けが美しい盃を入手し、とても喜んでおりました。それも束の間、仕入れ処理を終えた頃に丁度、遠方からご来店くださったお客様にお買い上げ頂きました。

この直径4㎝、女性の掌に収まる程の可愛らしいガラスの盃に、合わせる裂地を決めるのに一番時間がかかりました。初めは小柄のヨーロッパ更紗にしたかったのですが、盃自体が小さかったので、手持ちの裂では上手く柄がはまりません。
煮詰まった時に出会ったのが、日本の明治期のこの裂です。デザインの曲線と図案の一部分が、ヌーヴォー様式にとても良く映るように思えました。

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裏地の海気も一緒に、銀座の古裂古美術蓮さんで見つけることが出来ました。
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緒は盃の花に合わせて、少し大胆に華やかに。
日本の影響を強く受けたアールヌーヴォーのガラス工芸ですが、同じ時代の日本の裂で仕覆を仕立てて、何やらうれしいのは独りよがりでしょうか。

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青山の店頭には西洋物は並べておりませんが、東急百貨店吉祥寺店8階に常設店売り場がございます。

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