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2009.7/31

利休にたずねよ

主人から「利休にたずねよ」という本を紹介されました。



軍略家、政治家・・・歴史に登場する英雄たちは
魅力的な人物ばかりなので、
学生の頃から私は歴史科目が大好きでした。

しかし私にとって、そんな英雄たちの中で
とくに人物像がはっきりしない英雄、それが「利休」でした。

利休の断片的なエピソードをいくつか知ってはいたものの、
「美しいものに鋭敏な感性をもった、繊細な人」という印象と
「政治的にも強大な力をもった剛腕の人物」という印象の
相反した印象のエピソードが混ざっていて、
性格や人柄のイメージは?と聞かれると答えに窮します。

今回この本で、あらためて利休に接してみて、
そのエピソードの点と点とが一つの線で結ばれ、
ずいぶん利休像が浮かんでくるようになったと思います。

いうまでもなく利休には「古美術商」という顔がありますが、
私も今は、その古美術という世界に身をおいていますから、
先輩方や自分自身、自分をとりまく現在とも照らし合わせながら
読みすすめていきました。

本の中で作者の山本兼一氏は
利休の成し遂げたことすべてに一貫する
「繊細さや鋭さ、一方で強烈な精神力や冷徹さ、」
そういうパワーの源がなんだったのか?ということをテーマに、
秀吉やヴァリニャーノ、妻・宗恩、そして初恋の高麗(李朝)の貴人・・・
さまざまな人物とのエピソードを交えて、確信に迫っていきます。

この本を読み終えてみて、
その根源とは一期一会の精神にあったのではないか?
というのが、今の私なりの答えです。

一期一会をいかに美しい瞬間にするか?
一期一会をいかに愛おしく感じ、また感じさせるか?

古美術商という仕事の上ではもちろんのこと
いかにさまざまな人たちと関わってゆけるか、、、
利休のように、とまではいかないまでも
少しでも近付くことができるよう、
そういう問いかけをいつも心に持ち続けたいものです。従業員T

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