Blog

2010.1/31

卯槌

加登さんと仕覆のお稽古に通い始めて、2年以上が過ぎました。
今月は、年明け初のお稽古でしたので、いつもの仕覆制作ではなく
卯槌という掛香袋を教えて頂きました。

本来、卯槌(うづち)とは、
平安時代、お正月の初の卯の日に邪気払いとして
桃材を長さ三寸、一面一寸四方の柱状にし縦に穴をあけ、
五色の飾り糸を十五筋、五尺ばかり垂らし、
御座の西南の柱に掛けたものだそうです。

自分は初めて聞く言葉でしたが、
元々ご存知だった先生が次の古文を目にされ、
この香袋を思いつかれたのだとか。
すごい。先生。

吉日剛卯 きちじつごうう    めでたい卯の日に
帝命遵化 ていめいじゅんか   帝の善政はゆきわたり
順弥國化 じゅんやこっか    国は平安に安らいで
既央霊除 きおうれいじょ    霊はすでにして浄められん

制作途中。ノートを取りながら・・・



制作途中から出来上がりまで、文字に表すとほんの数行ですが、
実際は5時間以上かかったのでしょうか。
特に、この「几帳結び」と「露結び」を覚えるのに
1時間くらいかかったかもしれません。
上の何て事のない蝶結びに見える物が「几帳結び」、
その下のただの結び目にしか見えない物が「露結び」。



先生と同じように指にかけて結ぶのですが、
何回やってもなぜか同じようにならない。2人とも。
先生も「どうしてそうなるのかしらね。
ちょっと疲れたからお茶にしましょう(笑)」と苦笑い。
四苦八苦してやっとのことで、完成しました!!!

裂地は、龍村美術織物さんの今年の干支の
「刻石天象虎文(茶)」
約二千年前の中国漢代の画像石の文様の中の一つで、
太陽、月、星といった天象文と
鋪首(ドアノッカー)の上に虎を配した図柄。
桃の木に見立てたこの中には、匂袋の香が入っています。





形を整え、掌の中で眺めていると、
ふんわりとお香の香りが立ち昇ってきます。
不思議と疲れが消え、心が安らいでゆきました。

卯の日は、もう過ぎてしまったけれど、この1年の邪気が払えるよう
早速、西南の壁(柱が無いので)に掛けよう。
忘れず、結び方の復習もしておこう。

従業員 R

一覧へ戻る