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2012.5/25

李朝に始まり・・・・に終わる  李朝白磁



古美術、骨董品は本当に奥が深いので、一度、骨董熱に取りつかれると、なかなかやっかいです。先日も常連のお客様が、同じような物を幾つ買えば気が済むのだろう?と言いながら白磁の大壷を、また御買上頂いた。当店にも色々のお客様がいるのでお客様の好みや趣向も様々ですが、間違いなく皆さん李朝は大好きです。特に中期の白磁大壷は、誰もが欲しがります。ただ残念なことに金額も高く、数も少ないので、店頭には、あまり並ぶ事はなく、以前から、ご注文頂いているお客様や常連のお客様に収まってしまいます。日本には、過去の歴史と凄まじい李朝人気があった為に、、沢山の名品があり、書物や参考書も、数多く、出版されているので勉強には事かきません。

李朝白磁は、形姿や大きさも、もちろんありますが肌が一番重要です。特に中期の壺の優品の肌は、何とも表現しがたい魅力があります。価格にしても同じ大きさで、数十倍の開きがあります。

良くお客様にどれが最高の肌ですか?と聞かれますが、これが意外と難しい質問で簡単に言うと、時と見る場所によっても違いますからと答えます。実際に先日まで開催されていたサントリー美術館の展覧会で、見慣れた東洋陶磁美術館の作品を三度見にいきましたが、大阪の東洋陶磁美術館で見るのと、肌の印象が微妙に違いました。でもどこで見ても名品は名品ですが、一番の肌となると人それぞれで、微妙な、好の味があります。

私自身は駒場の民藝館の、一番大きな立壺の肌が、今は一番好きだと思っておりますが、東洋陶磁の大壷も良いし、MOAの浅川伯教旧蔵の大壷も良いし・・・?と、なります。
ただし、やはり自分の物ではないので、ガラス越に見るだけの感覚ですので、自分の物の様な、愛着まではいかず、何度見ても、到底満足感はありません。
いつも、一点は良い白磁の大壺を手元に置いて、観賞したいのですが、供給が止まってしまう事もしばしばです。好きで始めた仕事ですが、本当に恵まれていると思う事があります。
それはお客様に代金を頂きながら、良い物を売って頂きまして、ありがとうと言われる事です。一瞬はとても嬉しいのですが、この後に何とも言えぬ寂しさに襲われる事も、しばしばです。何か、とりとめもない話に、なってしまいましたが李朝に始まり・・・終わると言いますが、結局終わらないと言う事です。

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