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2013.9/6

李朝文房図

 

(御売約済み)


朝鮮民画と言われているものは朝鮮王朝の宮中画からの流れを汲むもので、文房図の中でも両班の書架を描いたものを冊巨里(サッコリ)と言い、この絵の中では書物を中心に文房具、生活用品、花瓶などが書架に並べられています。
これは学問に精進することを目的として描かれたからで、書斎や応接室にもなったサランパン(男部屋)や子供部屋に置かれたようです。民間の冊巨里(サッコリ)は、自由で装飾的な構成の面白さが目をひきます。

朝鮮の民画は世界に例を見ない絵として高く評価されていますが、それは逆遠近法による描写で、見る側に不思議な感覚と関心を持たせます。柳宗悦も民間の冊巨里(サッコリ)を見て、「凡ゆる(あらゆる)知恵を無力にさせる神秘的な美しさを持つ絵」と絶賛しました。

今回の画像の文房具図は絹本に描かれており、何枚かの構成で屏風に貼られていたものです。
昭和初期の李朝の大ブームの折りには随分と人気があったそうですが、最近は余り市場に良い作品が出ないせいか、価格が安定しており購入しやすくなりました。ただやはり魅力のある物はそれなりに高価です。
私も市場(古美術市場)では随分と民画は見てきたものの自分で欲しいと思ったことは一度もありませんでしたが、この作品を見た時は初めて購入したいと思い落札しました。
まるで沖縄の紅型をみるような美しい色彩です。絹本なので余計にそのように感じられるのでしょうが何か関わりがあった様な気がします。朝鮮民画独特の逆遠近法も積み重ねた冊子の幅に容易に感じ取れます。日本民藝館にも類似の作品が収蔵されておりまります。又講談社発行『李朝の民画』等に掲載されております。

李朝民画はあまり古い物は残されておりません。時代があってもせいぜい19世紀です。市場にある民画は、ほとんどが今世紀の作品で、現在でも伝統は続いております。最近では古紙を使い、古く見せた作品が沢山出回っております。特に人気の虎図、文房図、金剛山などに注意が必要です。







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