2013.6/28
目福口福
(御売約済み)
青山で初めてお店を開いた頃、お客様から骨董屋というものは、いつでも美味しい和菓子を店に用意しておくものだと伺った事があります。そのお客様は非常に口うるさい方でしたが当時の私には新鮮な教えでした。そのお客様ももう随分前にお亡くなりになられましたが今でもこの習慣は残っております。事前にアポが入ればかならず生菓子を用意しており、ふらっと立ち寄ってくださるお客様の為には日持ちのする物を少量を買い置きしています。写真の大福は青山の「まめ」という店のもので、私は岡埜栄泉か、ここの大福が一番好きです。ただ生菓子なので上手くいかない時もあり、当然、半ば強制的に店のスタッフとで消化しなくてはならなくなります。最近気がついたのですが店の女性からは余り歓迎されていないような気がします。
(李朝鶏龍山茶碗)
菓子盆は李朝です。材は松だと思いますが鉈彫の仕上げに拭き漆をかけたおります。以前に黒田辰秋の旧蔵品で同じ様な品を扱いましたがやはりこれと同じように、中心に○の陰刻がありましたが意味はわかりません。又、高台が日本の物とは少し違いがあるようです。又黒田辰秋自信の作品にも欅素材で同じ様な盆があります。刷毛目の茶碗は最近手に入れた物で李朝の鶏龍山刷毛目のお手本のような茶碗です。少々小振りですので茶箱にぴったりです。
床の間には熊谷守一の五風十雨をかけました。五日目に風が吹き、十日目に雨になる、しごく当然なことで平穏無事、五穀豊穣の意味です。
目福口福とはこのような事ですよね。