2018.10/1
2018東美アートフェア 出品作品のご紹介2
絵唐津小壺 桃山時代 高10.9 幅15.0
約400年前の桃山時代に九州・肥前の地に生まれた古唐津。
鉄絵による文様が描かれた絵唐津は、瀟洒な味わいが見どころである。
陶工が気の向くままに描いた文様は、草木や鳥や唐草、又は絵とは呼べないようなそれであるが、不思議とそれぞれの器にぴったりと合っている。それは絵というよりも、器の景色かのように。
今回紹介する作品には、力強く、飄逸な文様が描かれている。そして、まるでそれを静かに受け入れるかのように落ち着きのある色味の肌がその良さを引き立たたせる。
高台は勢いよく削られ、見込みと太い文様にあらわれた梅花皮が見事な逸品である。
この文様もまた、この器に描かれるべくして描かれたのであろうが、禅画などに見る円相のような気持ちもあったのではなかろうか。