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2012.2/2

線刻菩薩鏡像 (伝金峯山)

 

 極薄い銅板に刻点を密に連ねる蹴掘りで、線の間が盛り上がるほど力強く刻まれた為に、裏面にも線が明瞭にあらわれています。さらに肉身部はわずかに打ち出してあるようです。鏡面には正面向きで蓮茎を持つ菩薩像と思われます。この鏡像を初めて見せられた時に図像表現が余りにも明快で、まるで平安時代の白描画を見ているような気分がしました。欠損部分があるので尊像を特定できませんが金峯山経塚から数枚出土している、平安末期の鏡像群と共通しており、道長時代の本格的な経塚遺宝です.



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