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2012.4/12

高麗青磁素文輪花鉢



4月の香港サザビーで北宋時代の汝窯の15cmの輪花鉢が22億円で落札された。ここ数年の中国美術品の高騰は凄まじいがこの作品も又、日本国内の老コレクターの出品だそうです。世界に数点しか確認されていない汝窯の作品なので落札価格が高いかどうかは各自の判断で良い。しかし本当に過去の日本は凄いと思う。近年の韓国や中国の美術品で高額の作品はたいがい日本から出品されたもので、まだまだどこかに眠っていると思われています。この仕事に携わってまだ25年ですが、良いものが無くなったと言われながらも毎年何点かは交換会やオークションに出てきます。
当店は朝鮮美術が多いので韓国のお客様が沢山お見えになりますが、皆日本にある自国の美術品がお目当てです。ただ、以前は高麗青磁などは花形商品でしたが偽物が出回り、本物まで安くなってしまいました。よく韓国のディラーから、北朝鮮で凄く精巧に出来た高麗青磁があると聞くので、そのように言われている作品を何度か見せて頂きましたが、そんなに精巧だとはいつも思えずにいます。古美術のプロの世界は不思議なもので商品を見せられて悪いと言うほうが目が訊くと思われることがしばしばあり、それで混乱を招く場合も沢山あります。専門家が何人か集まっても、意見が二つに割れる事もありますが、ほとんどの場合は一致いたします。汝窯の美しさや稀少性などは知っていますし魅力も解かっておりますが、高麗青磁の現在の価格は安すぎるような気がいたします。
本物の高麗青磁の良いものは美しいと思います。

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