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2012.10/8

コレクションのゆくえ



李朝白磁提灯壺(17世紀末~18世紀初) 2012年東美アートフェア出品作品(売約済み)


先日、コレクターでいらっしゃった奥様から突然ご連絡を頂き、十数年振りにお宅にお伺いした。聞けばコレクションした物にご家族は興味がないので、自分が元気なうちに手放したいという相談でした。息子さんにコレクションは貴重なものだという事を何回となく話したらしいのですが、「反対に貴重なら尚更、自分達の代まで持ち込まれると責任が重く、それが嫌だ」と言われてしまったそうです。
「美術館等に寄贈しようか?」から始まりましたが、同じように大切してくれる次のコレクターに譲るという選択肢もあるのだということ、それを取り持つのも骨董屋のもう一つの仕事だという話に共感して頂き、私共に譲って頂ける事となりました。
投機目的ではなく、長い期間をかけ蒐集してきた物には、やはりそれなりに魅力があります。コレクションの処分やご先祖の残された物等でご相談を受ける事がありますが、美術館への寄贈もよく訊ねられます。もちろん、それが相応しいと思われる物はそのお手伝いをしますが、そうでないものは、次のコレクターへ引き継ぐのが最善だと思います。今日、伝世で残って来たコレクション達もそのようにして受け継がれたのだと思うのです。昨日まで行なわれた、東美アートフェアにも沢山のお客様がご来店頂き、また違うコレクターに受け継がれていきました。皆様、ありがとうございました。

この写真の白磁は、文面とは関係ありません。

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