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2023.5/18

李朝窓絵風景丸壺の想い出



李朝窓絵風景丸壺
朝鮮時代18世紀



こちらは工芸青花19号青花抄に掲載される予定の作品です。
この壺には沢山の想い出があります。それは神保町に李白という李朝時代の家屋がそのまま現れたような喫茶店がありました。
まだ若かった私は休日には古本屋の帰り道良く立ち寄り店内の雰囲気にしたるのが唯一の楽しみでした。

それから数年がたち神保町から経堂に店が移り、自宅からも近くなり、ますます頻度がまして通うようになりました。

神保町時代にこの壺が欲しく、一度、譲って欲しい事をお願いした事があるのですがその時はあっさり断られました。

経堂に移ってから数年通ううちに、店主との雑談もできる様になり、近々店を閉めることを聞き、再度お願いしてお譲り頂きました。
欲しくって、欲しくって堪らなかった壺ですのでそれは嬉しくて、今でも、その時の事は脳裏に鮮明に焼き付いています。

平凡社発行の『李朝を楽しむ』(1998年)や、その当時の李朝ブームの中で発行された雑誌類に数多く散見され、その当時の店内の様子と共に昔を偲ばれます。

この壺の窓絵の文様は、18世紀より文人達から始まり一般市民にまで好まれたらしく、長い期間応用されていますが、市場に出回る物はほとんどが19世紀の作品です。



窓絵の中の文様も、この作品のような秋草にバッタが止まるものから鳥などに変わり、大雑把になり、乱れてきます。

李朝陶磁器は日本には沢山のコレクターが居て良い作品が残っています。私共にも良く評価の相談を受ける事が多いのですが、昔のコレクターの愛蔵品は魅力がありますね。
願わくば叶うというご縁の話です。

まだまだこの壺にはストーリーがありますが、今回はこれくらいにしときます。
又学術的な事は工芸青花にご執筆くださる研究者の田代様にお任せいたします。

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