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2015.9/30

精華抄



粉青沙器白磁線刻魚文扁壺    李朝時代15世紀    (撮影 菅野康晴)

青花の第三号に掲載された扁壺ですが丁度10月に東京美術倶楽部で行われるアートフェアの図録にも、時期が重なった為に、同作品が掲載されております。
工芸青花の世話人であり、茶人である木村宗槇さんが次のように書いてくださいました。

「有徳の壺」。かって或る識者がこの壺をそう評したという。成程茫洋たる大らかさの内に愛嬌と品格を兼ね備えた大器である。
李朝時代前期(15~16世紀)即ち秀吉の朝鮮出兵による荒廃以前に焼成された粉青沙器の一。粉青沙器は「粉粧灰青沙器」の略で白土を白粉の如く化粧掛け(粉粧)した灰青色の陶器との意。日本では「三島」と称する(典型的な象嵌文様が三島大社発行の暦に似ることから)。
素地に掛けた化粧土に「線彫り」や「掻き落し」等の技法を施し、文様を描く。李朝前期の焼き物文様、器形共に自由闊達、時に奔放な魅力に溢れる。
「魚の扁壺に売物なし」等と宣伝されたりもするが、本器は無傷の優品。文様のめりはり、鈍重さのない器形、腰から高台にかけて大胆に削り込まれた箆跡も見事で、李朝当時の造形に感覚に改めて感嘆する。

2015 東美アートフェア  詳しくはお知らせページをご参照ください。

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