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2018.10/3

2018東美アートフェア 出品作品のご紹介3

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初期伊万里 染付葡萄葉形向付 五客   高3.3 幅14.8 奥行12.5



初期伊万里の誕生は1610年代とされ、その終焉は1650年代とされている。

この時代は、「筆で絵文様を描く焼物」が新たに出現するという大変革が生じた時代であった。美濃地方の志野で幕が開き、同地方の織部へと続き、それに前後して唐津が絵唐津を作り始め、伊万里へと展開していった。唐津は後に出現する伊万里と並行して作られていたが、1637年の窯整理統合事件をもってその姿を消した。

伊万里とは肥前陶磁器の一つであり、現在の佐賀県松浦郡有田町が中心生産地であった。初期伊万里とはその伊万里創業期の作品である。

変形小皿が作られるようになったのがいつ頃からかは明らかではないが、天神森七号窯と天神森四号窯の窯跡調査から、1610年に始まった磁器生産のごく初期から変形の皿が焼かれていたことは明らかになっている。

伊万里の変形皿は、その形や文様を茶人達の注文した中国の古染付や、17世紀後半に日本で流行した衣装の図案帳である雛形などから翻案されたり、それらの影響を大きく受けてきたと考えられている。また、糸切細工による自由な形がその特徴である。初期に於いて染付は、青だけが色彩であったが、それでもその一色を最大限に利用している。

今回紹介する本作品は、葡萄葉形にきれいに型取られ、繊細に陽刻されている。また、丸みが可愛らしい葡萄の果実や木が描かれているところが見どころであると同時に、五客組として伝世されてきたことも貴重である。



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