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2021.5/21

中澤安奈の彫刻【青花の会骨董祭2021】

「像」の古代と現代をテーマとして、古美術と現代作家による様々な小像を展示する今回の企画。

先日ご紹介した田嶋健太郎のほか、もう一人の出品作家は彫刻家の中澤安奈です。

中澤の作品は、弊店でも初めての展示となります。



1988年生まれの中澤は、東京藝術大学、同大学院彫刻科を修了し、石や木を素材とした彫刻を制作してきました。





〈婚礼の準備〉

中澤安奈

2021年

16.1×8.9×3.3㎝



「婚礼の準備」シリーズは、祖母の死をきっかけに、「古い人を脱ぐ、新しい人を着る」というようなキリスト教においての「衣」の意味への気付きから制作に至った作品です。

衣だけで人の存在感や空間性を表すこのシリーズは、中澤の代表的な作品群となっています。

肉体が目に見えないことで、寂しさや喪失感を感じさせますが、そこにはむしろ未来に向けた明るさが込められているのだと言います。

同シリーズは2018年に大分アジア彫刻展で優秀賞を受賞するなど、高い評価を得てきました。





〈ロマネスクの庭〉

中澤安奈

2017年

12.3×3.2×2.5㎝



テラコッタで造られた〈ロマネスクの庭〉という作品。

中澤は大学院を修了後、3ヶ月半に渡ってヨーロッパの村々に点在するロマネスクの修道院や建築を見てまわる旅に出ました。

この作品はその旅を契機に制作された作品のひとつです。

軽さを追求した近現代に対して、ロマネスクの人々が用いた石や木などの重たい素材の中に残る人々の生活や信仰の痕跡から、多くの感動をもらったのだそうです。



旅や信仰から生まれた中澤の作品には、作家自身が受け取ったきらきらとした感動が込められています。

自然の素材が予め持っていた特徴を受け入れながら、作家が日常の中で得た感動をのせるようにして作品へと昇華されているところが中澤作品の魅力です。



青花の会骨董祭では、小品を5点、展示販売する予定です。

ぜひご覧くださいませ。





中澤安奈

1988年 神奈川県生まれ

2012年 東京藝術大学美術学部彫刻家卒業/荒川区長賞受賞

2014年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了/東京都知事賞受賞

2016年 ギャルリー志門 個展

2018年 第14回大分アジア彫刻展 優秀賞受賞





「小像 ー古代と現代ー」

青花の会|骨董祭2021 大塚美術ブース

□会期|6月4−6日(金土日)*4日は青花会員と御招待者
□会場|√K Contemporary(牛込神楽坂)

※6月5日12:00よりOtsuka Fine Art onlineにて出品作の一部を販売致します。
※骨董祭に関する詳細は、下記ウェブサイトからご覧ください。
https://www.kogei-seika.jp/seikafes/2021.html

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