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2022.9/24

李朝人と竹[2022東美アートフェア]

インスタグラムでは、10月14日からの東美アートフェアに出品する作品を紹介しています。

今回のフェアでのテーマは「朝鮮の美術」。

アートフェアの公式カタログにも掲載している染付竹文筆筒について、李朝人にとっての「竹」というテーマで掘り下げてみましょう。




竹は四君子のひとつ。

蘭、竹、菊、梅を草木の中の君子に例えて称え、東洋画で多く描かれました。

それぞれの植物には君子の理想像が重ねられています。

蘭は香りと気品

梅は早春に花を咲かす強さ

といったように。


竹は、寒い冬でも青々と葉を繁らせ、真っ直ぐに伸びる姿が君子の持つべき素質と考えられました。

李朝人は、四君子の中でも竹を特に重要視したそうです。


李朝陶器には陶工が絵付を行なったものと、宮中の画員が窯場に赴いて絵付けしたものとがあります。画員とは宮中の絵画事業全般を取り仕切った画家集団です。

その画員になるための試験では、得点の異なるいくつかのお題が出題されたのですが、その中でも最も高い得点が与えられたのが竹だったそうです。

竹のシンプルな形に、君子の高潔な精神性をいかに込めて描けるか、それが画家としての腕の高さと考えられていたのですね。







本作は筆筒自体を竹に見立てたように竹節状に成形され、縁に向かって広がっています。

筆筒とよく似た形のものに紙筒がありますが、このように縁の広がったものは紙筒とされる見方もあるものの、当時も両者は明確に区別せずに使用されていたようです。



絵付けは前後に竹のひと枝。非常に鋭い手捌きで単純ながらも見事な描写力です。

李朝陶器の中では最も希少で好まれる中期の作品。柔和な白磁の色と呉須の落ち着いた色味がそれを物語っています。




2022東美アートフェア|2022 Tobi Art Fair

10/14 Fri. 10:00〜19:00

10/15 Sat. 11:00〜18:00

10/16 Sun. 11:00〜17:00


東京美術倶楽部 ブースNo.4-27

https://toobi.co.jp/artfair

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