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2010.4/14

白磁の人

青山を訪れると、きまってお店に立ち寄って下さるお客様が、
今日は文庫本を携えていらっしゃいました。

たまたまその時は店主が留守にしていたので
器のことや、その器に活ける花のことなど
色々とお話をうかがっていると、
「この本を知っていますか?」と
手にしていた文庫本を紹介して下さいました。

白磁のことでちょうどひとりごとを更新したばかりでしたし、
何か運命的な出会いと言うのか、縁を感じたので早速読んでみました。



白磁の人
河出文庫・江宮隆之著

この本の主人公は浅川巧氏。
李朝研究や民藝運動で活躍した浅川伯教氏の弟です。

兄・伯教にくらべ、あまり話題にのぼらない巧氏ですが、
兄や、柳宗悦氏などと同じく、深く李朝を愛した人物だったようです。

日韓併合の混迷した時代に巧氏がどう生きたのか?
韓国の人々との交流を通じて紹介される温かなエピソードが心を打ちます。

どんな人にも、どんなものにも
わけへだてのない巧氏のまわりには
人にも、ものにも慕われ、集まってきたと言われます。

ついつい私も
これはどこどこのやきものだから・・・
とか
これはいついつの時代のやきものだから・・・
とか
次々に分類してはレッテルを貼っていく、
そんなものの見方をしてしまっていることがあります。

巧氏がちょうど私の歳くらいのとき、
道具屋のすみで肩身のせまい扱いをされていた
白磁の壺や秋草の壺に惚れ込んで
見入っていた時の感動を想像していると
なんだか羨ましく思えてきます。

この本を読んで
そのように心を打つものが
実は自分の周りにありながら、
ただ気付いていないだけなのではないか・・・と
大切な気持ちを思い出させてもらえました。

4月から
東京駒場の「日本民藝館」にて
[朝鮮陶磁‐柳宗悦没後50年記念展]
2010年4月1日(木)-6月27日(日)
が開催されています。


週末早速行ってこようと思います。従業員T

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